ワーキングメモリが弱いとどうなるのかな?

支援者の為の勉強会で「ワーキングメモリ」ってなに?というテーマで勉強会をしました。
その内容をシェアしようと思います。

ワーキングメモリってなんだろう?聞いたことありますか?

読むのが苦手、書くのが苦手
感じが覚えられない、漢字が書けない

これは症状です。病気で言えば、咳が出る、のどが痛い、熱が出た、体がだるい
これはみんな症状ですね。原因ではありません。

同じ症状でも、風邪かもしれないし、インフルエンザかもしれない。
原因によっては治療法も薬もかわってきますよね。

読むのが苦手、書くのが苦手もおなじなんです。理由はさまざま。
なのに、なぜかみな同じように語られることが多いのが現状です。

よく、「合理的配慮の申請書」を学校へもっていくとこんなことを言われたと聞きます。

「このくらいの読めない子や、書けない子は沢山いるんですよ。
お宅のお子さんだけ特別扱いできないんです」

こういわれるとお母さんたちは少なからずひるんでしまうようです。

ちょっとまてまて・・・です。

私からしたら、
そう思うならその沢山の子を全部救ってくださいよ!
特別扱いしなくていいので、

みんなに配慮してあげてください。
その子たちが学びやすい方法を教えてあげてください!

と言いたいです。どの子もみんな学ぶ権利を持ってる子供たちなのですから。
そもそも、その状態を知っていてなにも手だてしない時点でどうかと思います。

ワーキングメモリの役割

ワーキングメモリとはパソコンのメモリの役割ににていますでしょうか。
マルチタスクで何かをするときのキャパみたいなものです。

ワーキングメモリが起こすエラーは、少なからず私たちも経験しています。
例えば、鉛筆を取りに隣の部屋にいったのにドアを開けた途端、何を取りに来たか忘れてしまった・・・

という経験ありませんか?私はしょっちゅうあります。←いばれないww

これはワーキングメモリが起こしたエラーだそうです。つまり、これだけの動作でも取りに行くのは鉛筆と覚えておきながら、隣の部屋まで移動し、ドアを開けるとこれだけ同時に頭では処理をしているのですね。この複数同時に動作ができることもワーキングメモリの働きによるということです。

でも、隣の部屋に鉛筆を取りに行った事を忘れたとしても、鉛筆自体を忘れる事はありませんね。隣の部屋に行ったとたん、鉛筆をみて、
「この先がとがってる長くて細い木片はなんだったかな?」
となっていたら、もうそれはちょっと病院へいったほうがいいということになりそうです。

そう、これが鉛筆だということはすでに今までの経験から長期記憶となって定着しているはずなんですね。これを忘れる事はありませんね。
子ども達も同じです。問題はいかに今授業で覚えた事柄を長期記憶として定着させられるかということになります。

私が読んだ本にはこんなわかりやすい記述がありました。長記記憶が駐車場だとすると、ワーキングメモリは駐車場に入るまでの道だと考えるとわかりやすいそうです。いくら駐車場にスペースがあっても、そこまでの道が細ければたちまち情報の渋滞が起こってしまって、長期記憶のパーキングにとどめる事が難しいのだそうです。

なんとか長期記憶にさえ入れてしまえば・・・



そんなのいいわけですよ。ウチの子、勉強はちっとも覚えないけどポケモンは全種類、属性から必殺技まで全部覚えてるんですよ。覚えられないなんて言い訳です。

とおっしゃるお母さん、いらっしゃいます。お気持ちよくわかります。でも、これはゲームを通して、反復練習し正に長期記憶にポケモンキャラクターがたくさんたまっているからに他ならないのです。恐るべしゲーム。ゲームほど飽きずに楽しく学習ができれば、勉強嫌いな子はいなくなるかもしれませんね。

ワーキングメモリの弱い子、長期記憶パーキングへの道が細い子はポケモンであっても強い子より苦労しているわけです。
でもそれならばですよ、渋滞しないよう、少しずつ情報を流すことで上手に長期記憶へ誘導することができないでしょうか?
この工夫を授業でもしていかなければいけないのでは!とこの勉強をして気が付いた塾長です。

年齢と共に育っていくワーキングメモリ

読みに障害がある子でもない子でも成長に合わせて

また、このワーキングメモリは徐々に発達していて子供のころ弱いからと言ってずっと弱いままではないようです。個人差はあるものの、おおむね高校生から大学生の青年期にピークを迎えそこから徐々に落ちていきます。私なんてもう、結構落ちて自分でもあきれるくらいの確立で携帯電話を置き忘れます。(笑)ですから、子供たちはまだ発展途上。あきらめる事ではないわけです。

この個人差。2歳~3歳上下にあるようですね。そうすると仮に小学校3年生でみると、ある子が3歳遅れていて、ある子は3歳進んで発達しているとなれば、同じ学年に1年生の子と6年生の子が混在していることになるわけです。教えるほうは注意しなければならないはずなんです。これは成績が良いとか悪いとかではなく、身長の伸びに差があるのとなんら変わりないと私はとらえています。

そんなことで、自分はできないと思う必要もないし、これから伸びていけるところなんですね。

つまり、マルチタスクが苦手な子ならなるべく情報はシンプルにして余計な動作を含めず、学習を進めればいいのではないでしょうか?

ワーキングメモリの弱いお子さんは、聞きながら書くなんてことは 本当にエネルギーフル回転でしないとできない事なんですね。
黒板を写しながら理解するなんて、至難の業なんです。でも、なぜか、ノートに取る=学習している という構図が昔からありますね

私はお恥ずかしながら、学生時代ノートをとるのが嫌いでした。だから高校生のときなんて板書したことありませんでした。

ノートは一冊だけ。表紙に『全教科ノート』と書いてありましたが、それさえほとんど白紙か落書きだけ書いてありました。ノートの提出といわれるとほかの教科でも使っているから提出できませんとヘ理屈をいったものです(良い子はマネしないでねww)

それでも、授業はしっかり聞いていたのでテストはできました。一人ひとりに適した学び方があるのです。
私はそれを、その子自身がしっていることが大切だと考えています。

言語領域と視空間領域

※ みなさん、あいうえお・あいうえお と唱えながら〇の数を数えてみてください。

ワーキングメモリには二種類の領域があるようです。上の〇をあいうえおあいうえおと唱えながら数えてみてください。できなくないですか?
でも、あいうえおあいうえおと唱えながらでも〇を一つずつ指さすことはできますよね。2種類のワーキングメモリがあるからです。

例えば、図書館にはどういくの?と聞いて地図を渡されたほうがわかる人と「郵便局を右に曲がって50mくらいしたらコンビニがあるのでその角を左に曲がって右手側だよ」と説明をきいたほうがわかりやすい人がいます。子供の困り加減をよく見てどちらに弱さがあるのかを見極め、適切にサポートしないとですね。

弱い領域に合わせたサポートが必要です。というか、得意な方で学ぶことが大切ですね。
日本人はすぐに弱いところを強化したがりますが、時と場合によると思います。特に中学生などは鍛えているうちに次から次へと新しい事を学ばないといけません。その先に受験がまっているわけです。だから待ったなしです。訓練はなるべく早い時期に行って、中学生になるころまでに付き合い方をしっておくのが望ましいと思います。

このほかにも 「保持」と「保持+処理」などワーキングメモリにまつわる能力差はまだまだあります。
とにかく、この能力が子供たちの学力にそうとうの影響を与えていることは確かのようです。ですが、まだまだこの事に重点を置いてある教材は多くはありません。どの子にも有効なものはきっと存在しないのでしょう。オーダーメイドになってしまうのではと思います。

このセミオーダーメイドともいえる学習アプリを考えていこうと思っています。
エンカレッジの子供たちが協力してくれるでしょう。また、ご報告します。

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